デジタル化・AI導入補助金とは|IT導入補助金からの変更点と対象外になる注意点
IT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名前が変わりました。名前にAIが入ったことで「AIの導入に補助金が使えるようになったのですか」というご質問をいただきます。答えは、使えます。ただし条件があります。
この記事では、公募要領の原文をもとに、名称変更で何が変わったのか、そして名前が変わっても変わっていない「対象になるツール」と「手続きの順番」を整理します。経営判断に効くのは、実は変わっていない部分のほうです。
IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更
正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。中小機構のページには、IT導入補助金は令和8年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わった、と書かれています。
https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/it_subsidy.html
枠組みはそのまま引き継がれています。
- 通常枠
- インボイス枠
- セキュリティ対策推進枠
- 複数者連携枠
別の制度に置き換わったわけではありません。
公募要領で変わった点:「ソフトウェア(AIを含む)」の明記
通常枠の公募要領では、補助の対象になるITツールの定義に、次のように書かれています。
ソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)
この括弧書きが、名称変更の中身だと読めます。AI専用の新しい枠ができたのではなく、これまでのソフトウェアの定義にAIが含まれることが、要領の文言としてはっきりした、という形です。
裏を返すと、AIだから特別に有利になる仕組みが用意されたわけでもありません。
注意点1:対象になるのは「事務局に登録されたツール」だけ
同じ要領の補助対象経費の項目には、こうあります。
補助対象経費は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用とする
AIであれば何でも対象になる、ということではありません。事務局に登録されている製品の中から選ぶことになります。いま自分で契約して使っている月額のサービスが、そのまま補助の対象になるとは限りません。ここは、ご相談の場でいちばん誤解されているところです。
対象外になるもの
- 対外的に無償で提供されているもの
- リース・レンタル契約のもの
- 中古品
- 交付決定前に購入したもの
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf
注意点2:交付決定の前に契約・発注すると対象外
要領の留意事項には、こう書かれています。
交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は、補助金を受けることができない
補助金の実務で、いちばん多い事故がこれです。使いたい道具が決まっていて、現場も急いでいて、先に発注してしまう。その一手で対象から外れます。
当協会の工藤が支援している別の助成金の案件でも、同じ場面がありました。作業を先に進めたい事情があり、契約書の日付を実際より前にすれば形は整う、という状況です。そこは整えませんでした。日付を動かせば書類は通るかもしれませんが、通った後に事実と合わない書類が手元に残り、あとで説明を求められたときに説明できないからです。
名前が変わっても変わらない順番
- 交付決定
- 契約・発注
- 納品
- 支払い
注意点3:名目を付け替えても通らない
別の案件で、ある工事に使える補助金を自治体ごとに調べたことがあります。「安全対策」という名目なら通るだろうと見ていましたが、結果は全滅でした。
通る可能性があったのは、その制度がもともと想定している目的に合っているものだけです。同じ工事でも、制度が何のために作られたかと噛み合っていなければ、名目を付け替えても届きません。
補助金は、自社がやりたいことにお金をつけてくれる仕組みではありません。国や自治体が進めたい方向に合った動きを後押しする仕組みです。そう考えたほうが、判断を間違えません。
補助金は、AI導入を始めるきっかけにはならない
補助率は原則2分の1、補助額は5万円から450万円です。半分は自社で出します。
すでに何をするか決まっている会社が使うと、速く進みます。決まっていない会社が使うと、申請の準備そのものが新しい仕事になります。書類を作り、要件を確認し、実績を報告する。その時間は誰かの手から出ていきます。
「補助金が出たらAIを始めよう」という順番だと、たいてい始まりません。順番が逆だからです。
交付決定を待つ間にできる3つのこと
- どの業務を、誰の手から外すかを1行で書く
- その業務にいま何時間かかっているかを測る
- 無料か、月に数千円の範囲で試す
3番まで済んでいれば、補助金を使うかどうかは道具の選び方の話になります。済んでいなければ、補助金があってもなくても、そこから始めることになります。そして、1番を決められるのは経営者だけです。
その業務に月10時間かかっているとして、その10時間の単価はいくらでしょうか。補助金の申請書を書く前に、その金額を一度出してみることをおすすめしています。対象業務の決め方については「AIに100万円出す会社は7割、始めている会社は2割」でも書いています。
まとめ
- IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更。公募要領に「AIを含む」と明記された
- 対象は事務局に登録されたITツールだけ。自分で契約中のサービスがそのまま対象になるとは限らない
- 交付決定の前に契約・発注・納品・支払いをすると対象外。この順番は変わっていない
- 補助金は始めるきっかけではなく、やることが決まっている会社を速くする仕組み
岩手県AI活用協会のサポート
当協会は東京都八王子市と岩手県盛岡市に事務所を置いています。ご相談の内容に応じて、現地にうかがうこともあれば、オンラインで進めることもあります。盛岡でのAI活用支援については「盛岡のAI活用支援」のページもご覧ください。
「AIの導入をどこから手をつけるか、社内で決めきれない」というご相談も受けています。お気軽に無料相談からお問い合わせください。
※この記事は、工藤がnoteに書いた記事(補助金にAIが入っても、先に買うと対象外)の内容を、ブログ向けに再構成したものです。

