AI議事録の確認方法|名前と数字のまちがいを原典で確かめる手順

会議の録画もAIの文字起こしもあるから、記録はもう十分。そう思っていたのに、あとで数字を確かめようとしたら、記録ごとに時刻も中身も少しずつ違っていた――AIの議事録を使い始めた会社では、こうしたことが起こります。

この記事では、同じ打合せの記録が4本あったのに、そこから拾った値のうち2件がまちがっていた支援先での実例をもとに、AI議事録で起きる時刻のずれと名前・数字の誤り、録画の4時間を1枚の索引画像にして照合した方法、そして当協会の工藤が「AIの議事録は下書き、確定は原典で取る」と分けている理由と手順を紹介します。

AI議事録の記録が4本あっても安心できない理由

支援先との打合せが、夜7時過ぎから11時半まで続いた日がありました。決まったのは、次の給与の計算から使う設定値です。その記録が、手元に4本ありました。読み比べると、同じ発言の時刻が全部ずれていました。中身も、少しずつ違っていました。

4本とも、機械が自動で作った記録だった

記録は、オンライン会議の録画と、AIによる文字起こしです。使った道具も、録り始めた時刻も、記録ごとにばらばらでした。

人が手で書いた記録は、1本もありません。全部、機械が自動で作ったものです。

打合せの直後は、これで安心していました。記録が4本もあるなら、何かあればどれかを見ればいい。そう思っていました。

AI文字起こしで起きた2つのずれ

数日後、本番の画面に入っている値を記録と照らして確かめることになり、記録を開きました。

ずれ1:同じ発言の時刻が、記録ごとに違う

最初に気づいたのは時刻です。同じ発言が、記録によって違う時刻に出てきます。基準にした1本に対して、ほかの記録は次のようにずれていました。

  • 別の文字起こし:54分56秒のずれ
  • 画面の録画:1時間44分26秒のずれ

正確な原因までは確かめていません。ただ、記録ごとに録り始めた時刻が違ったためだと考えています。4本を並べるまで、そのことに気づきませんでした。

時刻がそろわないと、「この発言のとき、画面に何が映っていたか」が分かりません。数字の話をしている場面ほど、それが必要になります。

ずれ2:人の名前と数字が、別の字で起きている

次に気づいたのは、文字起こしの中身です。

人の名前は、何度も別の字で起きていました。同じ人の名前が、記録によって2通りにも3通りにも書かれている。別の人の名前に化けているように読める箇所もありました。

数字はもっと厄介でした。「20八」と起きている箇所があり、工藤はそれを20万と読みました。

文字起こしを読み比べて、名前と数字がいちばん読める1本を基準に決めました。ほかの記録は、時刻の差が測れたものから順に、補助として使いました。

録画の4時間を1枚の索引画像にして照合する方法

困ったのは、録画のどこに何が映っているかでした。4時間を超える録画です。頭から見返していたら、それだけで半日近くかかりそうでした。

10分ごとのアドレス欄を縦に並べる

  1. 録画から10分ごとに画面を切り出す
  2. 画面の上端にあるアドレス欄だけを細長く切り取る
  3. それを縦に並べて、1枚の画像にする

アドレス欄には、いま開いているページの場所が出ています。縦に並べると、4時間のあいだにどの画面からどの画面へ移ったかが、1枚で見渡せます。

画面を見ながら話している発言で、時刻の対応を決める

あとは、文字起こしの中で「この画面を見ながら話している」と分かる発言を探しました。ある検索画面で地名を打ち込んでいる場面が、録画では2時間36分ごろ、基準の記録では4時間19分ごろに出てきます。ここを手がかりに、両方の時刻の対応を決めました。

議事録の数字は本番の画面で突き合わせる

それでも、記録から値を決めることはしませんでした。

設定値は、打合せの当日にその場で本番の画面に入れてありました。正しい値は、本番の画面に残っています。

記録は「何を話したか」の手がかりで、「何が決まったか」の答えは画面のほうにある。

本番の画面を開いて、記録から拾った値のうち、画面で確かめられたものを1件ずつ突き合わせました。

失敗談:確かめた値のうち2件がまちがっていた

確かめられた値のうち、2件がまちがっていました。

  • 1件目は、先ほどの「20八」です。正しくは28万でした。20万と読んだのは工藤です。文字起こしの誤りに、自分の読みの誤りを重ねていました。
  • 2件目は、人の取り違えです。記録から拾った番号と人の組み合わせを、取り違えていました。ある人の番号だと思っていたものが、実際は別の人のものでした。

どちらも、本番の画面を開いて初めて分かりました。記録を何度読み返しても、見つからない種類のまちがいです。記録の中では、どちらもそれらしく読めてしまうからです。

打合せの直後にまとめた結果の資料には、この2件がまちがったまま入っていました。本番の画面と突き合わせたあとで、資料を作り直しています。

AI議事録の使い方|下書きと確定を分ける3つの手順

以前、工藤はnoteでAIの「完了しました」を毎回確かめる理由を書きました。今回は、その会議の記録版です。

記録は、本数が多いほど油断する

4本あれば、どれかは正しいだろう。そう考えたのが、いちばんの油断でした。4本とも同じ打合せから機械が作ったものです。本数が増えても、確かめたことにはなりません。

工藤の議事録の扱い方

いま、工藤は議事録の扱いを次のように分けています。

  1. 話の流れと宿題の洗い出しは、AIの議事録で行う
  2. 名前と数字は、議事録から「候補」として拾うだけにとどめる
  3. 確定は、本番の画面や原本の書類で1件ずつ行う

記録が1本でも4本でも、この順番は変えていません。

AIに任せること・人が担うことの線引きは「生成AIの社内ルールの作り方」でも紹介しています。

明日からできる3つのこと

  1. 先月の打合せで「数字が決まった場面」を1つ選ぶ
  2. その数字を、議事録ではなく元の画面や書類で確かめる
  3. 一致しなかったら、議事録のどこを読みちがえたかを書き残しておく

1件でいいので、試してみてください。工藤の場合は、確かめた値のうち2件が違っていました。

確かめる時間を時間単価で考える

最後にひとつ。確かめる手間を惜しんで、まちがった数字が給与に出たとします。説明して、訂正して、謝る。その時間に、社長ご自身の時給を掛けてみてください。

確かめる時間のほうが短いと分かれば、どこで人が確かめるかを、先に決めておけます。

まとめ

  • 同じ打合せの記録が4本あっても、時刻は記録ごとにずれ(54分56秒・1時間44分26秒)、人の名前や数字も別の字で起きていた
  • 録画の4時間は、10分ごとのアドレス欄を縦に並べた1枚の画像にし、画面を見ながら話している発言を手がかりに時刻の対応を決めた
  • 記録から拾った値を本番の画面と突き合わせたら、2件がまちがっていた(「20八」は28万、番号と人の取り違え)。記録を読み返しても見つからない種類のまちがいだった
  • AIの議事録は話の流れと宿題の洗い出しに使い、名前と数字は「候補」にとどめ、確定は本番の画面や原本の書類で1件ずつ行う

岩手県AI活用協会のサポート

当協会は東京都八王子市と岩手県盛岡市に事務所を置いています。ご相談の内容に応じて、現地にうかがうこともあれば、オンラインで進めることもあります。盛岡でのAI活用支援については「盛岡のAI活用支援」のページもご覧ください。

AIの議事録をどこまで任せ、どこで人が確かめるかを一緒に決めたい方は、お気軽に無料相談からお問い合わせください。

※この記事は、工藤がnoteに書いた記事(AIの議事録は下書き、確定は原典で取る)の内容を、ブログ向けに再構成したものです。